【20代で知っておきたい思考法】思考の枠組みを飛び越えろ!【ある本と芸人さんの視点から】

 現代社会においては、ただ仕事をこなすだけではなく、新しいアイデアを見出す力。様々な変化に対応する力が求められます。また、新型コロナウイルスの出現により3年の変化が3か月で、10年の変化が半年でおこる。目まぐるしい時代において、既存の考え方、思考法では追いつけなくなっているのが現状です。 新しい混沌とした世界に生きるわたしたちは、既存の思考法ではなく、アップデートしたものの見方や考え方を身につけていく必要がありそうです。今回はある本から得た知見と思考法と、ある芸人さんの見方や考え方から着想を得た内容を記事にしていきたいと思います。 

わたし

うーん、考えがまとまらない。

アスタロッテちゃん

シーザーさん!思考の枠組みを意識するんです。

わたし

なーにそれ?

アスタロッテちゃん

今から説明していきますね。

アナロジカルシンキングとは

思考の枠組みをまず知ろう。

 最初からよくわからない言葉と図が出てきます。ご容赦ください。ここでは思考の枠組みという概念が出てきます。わたしは最初にこれを読んだとき時、理解ができませんでしたが、その後の理解の中心にあったのはこの図でした。この「フレーム」と「スキーマ」という考え方は人口知能の父とも呼ばれたマーヴィン・ミンスキーが人の知識構造をコンピュータを使って表現しようとしたときにつくられた考え方です。

 

才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10の思考法

スキーマ

 ミンスキーのいうスキーマというのは、頭の中に入ってきた情報を処理するために使われる知識の基本的なまとまりのことです。小さな単位での思考の枠組み、器、入れ物とここではとらえてください。

フレーム

この「スキーマ」をさらに束ねているの枠組みを「フレーム」といいます。ある概念を理解するための大枠になる考え方です。ひとつの「フレーム」は複数の「スキーマ」同士から構成されています。

「スキーマ/フレーム」を操る「お笑い芸人」の考え方とは

最近見た動画で、又吉直樹さんが「スキーマ/フレーム」と似た概念をおっしゃっていたので紹介します。

これ大事やなって思うのが、小説を書く方で日本語以外の言語を使える人。英語と、フランス語、ドイツ語とか。ある状態があって、ある状態を日本語で正しく表現する。正しく表現しようとすると一本の線ができる。英語でその状態をまた表現する。その表現はまったく重ならない、それぞれが持ってる単語の膨らんでいく感覚があるから、英語の線と日本語の線は違う。その線と線の間の幅が生まれる。この太さがめっちゃ羨ましい。この揺れを何かを観たり人と話す時に日本語で考える。英語で考える。その瞬間にもう日本の線ができて自然に幅になって揺れがあるのがめっちゃ強いなと思うんです。僕も何かをサッカーで例えると言うのはもしかしたらそれができているのかもしれない。これってサッカーで言うとこうだよねって幅が生まれたような感じがして、めっちゃ助けられてるやん。

ピース又吉直樹【渦】公式チャンネルより

 細かいニュアンスは若干異なりますが、又吉さんの大事にしている考え方って「スキーマ/フレーム」に似ています。それがお笑い芸人の素養なのか、小説家としての素養なのかはわかりませんが、思考の枠組みをとらえて、その思考を別の思考の枠組みにジャンプさせる。「スキーマ/フレーム」の考え方が大切だと感覚的に理解していらっしゃるのだと思います。

 落語や漫才やコントはわたしたちが経験の中で培ってきた「スキーマ」と「フレーム」を巧みに引き出してはずらしたり壊したりすることで「笑い」を生み出します。「発想が豊か」とか頭がやわらかいと言われる人は、必要に応じてパターンをくずして、新しいものの見方(スキーマやフレームの新しい組み合わせ)を持ち込める人なんでしょう。お笑いの例えつっこみとかそのさいたる例ですし。よく考えたら一昨年、M1を沸かせたミルクボーイの漫才も発想がフレームとフレームを飛び移って笑いを生んでいました。お笑い芸人さんのあいだで用いられる伝統的な手法でもありそうです。

思考を自在に飛びうつらせる「アナロジカルシンキング」

 「アナロジー」とは、ひとことで言えば「何かにたとえて考える」ということです。日常の例として、水流と電流のアナロジーがつかわれます。電流ってよく考えたら目に見えなくてよくわからないものですよね。そのよくわからないものを目に見えて存在する「水流」として理解している。こうして「よくわからないもの」を「よくわかるもの」に変換する努力をしながら未知なるものを理解したり、説明したり、発想したりすることを「アナロジカルシンキング」とここでは読んでいるわけです。

 この似ているものを関連させて発想を飛ばす、先述した「フレーム」と「フレーム」を飛び越える発想が「アナロジカルシンキング」となります。何かと何かが似ていると思う→似ているものの構造を借りてくる→借りてきた構造を当てはめる。これをすることで、発想力や説明力が飛躍的に高まるのは又吉さんの話しからも想像に難くないでしょう。

アナロジカルシンキングを自分の生活で応用するには

 日常生活において、様々なアイデアや発想を毎回ゼロから考える必要はありません。世の中にはもうすでに参照すべきモデルがたくさんあります。その参照すべきモデルをから、自分自身のイマジネーションや体験に基づく直観を駆使して、新しい発想へと展開していくのです。既存のモデル、「フレーム」から発想を飛ばします。

社会は模倣からできている 

フランスの社会学者ガブリエル・タルド

「物学(ものまね)」こそが芸の本質

世阿弥

 水流と電流の話しのように、既存の概念と未知の概念は似ているものなのではないかと考える。そして既知の概念の「フレーム」から、未知の概念の「フレーム」へ当てはめる。そうすれば、さしせまった問題に対する理解や、新しい発想が飛躍的に進んでいくというわけです。

 何かと何かが似ているという発想。それは、それだけで人間のイマジネーションの根っこはくすぐられます。

 ぜひみなさんも試してください。まずは普段の生活のなかで「これは何かと似ているかな?」と思ってみる。そこでピンときたものに自信を持つ。そして自分のイマジネーションの底力を信じる。そうすることで、あなただけの発想力、説明力、理解力、想像力は飛躍的にのびていくことになるでしょう。

 

アナロジカルシンキングをどこから学んだか

【才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10の思考法】の書評

 

 今回ご紹介したトピックはこの本の内容のごく一部をピックアップして、内容を一部簡略化しブログ記事としてとりあげました。今回の発想をとばす「スキーマ」と「フレーム」の考え方、「アナロジカルシンキング」は今までは漠然とそういった、ものの考え方はあると知っていましたが、この本ほど思考の仕組みがどうなっていて、どう鍛えていけばいいのかを書いた本は今まで出会うことができなかったので、感動し、ブログにこの学びを書きたいと記事にしました。

 前半の章では思考という漠然としたものを論理的にわかりやすく説明してくれます。

 後半は演習となり、「編集思考」の10のメソッドという形で思考を深めていくための具体的な演習項目が設定されており、どうしたら前半の章で学んだ思考法を活用できるのかを演習を通じて鍛えてくれます。

 この本を1冊読むことで、一つのセミナーに通い終えたような達成感と、自分の中に新しい思考のロジックが身に着いたことを実感できます。 様々なアイデアを考えるうえで、今後念頭においておきたい考え方ばかりです。単純な自己啓発本とは一線を画す思考の実用書となっていると言えるでしょう。

 この本の魅力は編集工学という、いかにも難しそうなタイトルですが、中身を読み進めていくと哲学やものを考えるうえでの考え方(演繹法、帰納法など)を学ぶことができ、まるで一つの哲学書を読んでいるような気分にさせる。哲学書というのはある種普遍的なものの考え方を載せていることから、きっとこの本も思考するという点において、いつの時代にも通用する普遍的な要素を孕んでいるんだろうと思います。

 また、様々な書物や事柄からの引用が多数あり、編集工学研究所という場所の資料の豊富さと、著者の教養の深さが随所に垣間見える一冊となっています。自分の主張に厚みを持たせるうえで、引用というのは、このように使うのだと教えてくれている気がします。

【才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10の思考法】から学べること

「フレーム」と「スキーマ」という思考の構造のとらえ方。

ロジカルシンキングとはどういうもので、アナロジカルシンキングはどういうものか。その連携方法

「アナロジカルシンキング」を伸ばす「何かにたとえて考える」方法。

当てずっぽうが道を開く、仮設思考「アブダクション・アプローチ」

見る人、動物によって見方、意味が変わる「アフォーダンス」

前提ごと問い直す、そもそも思考「アンラーニング」

「~らしさ」はどこから来て、なにを生むのか。

アイデアを詰め込むのではなく、「余白」をいかに活用するか、「余白」の重要性。

物語がひとを動かす「ナラティブ・アプローチ」

【才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10の思考法】を読んでみたかった理由

 2021年3月のKindle unlimitedでおすすめの本の一冊にあったのと、編集工学というタイトルに惹かれました。ブログを書いていると何をどこまで書いて、わかりやすく簡潔に伝えることができるのかと、少し行き詰まりを感じることがあります。編集力というものを身につけたいと思っていました。そんな中で、この本を見つけて、これだ!と思ってページをめくりました。冒頭には以下の文面が続きます。

「編集」という言葉から、何を思い浮かべるでしょうか? 雑誌・書籍の編集や映像の編集のような、何かしらのメディア情報を取り扱う職業的な技能をイメージされるかもしれません。ここでは、「編集」という言葉をうんと広い意味で捉えます。そもそもわたしたちは、ありとあらゆる「情報」に囲まれて生活しています。起きた時の体の感じ、外の天気、出かけるまでの持ち時間、テレビから流れるニュース、朝食のメニュー、クローゼットの服と今日のコーディネート、いずれも「情報」であり、そういった雑多な情報をのべつ幕なしに「編集」しながら生きています。ここで言う「編集」とは、こうした「情報」に関わるあらゆる営みのことを指すものです。本書で考える「編集力」は、明日の仕事や暮らしに役立つ技能、という範囲にとどまるものではありません。 この世界のいたるところにある編集の営みを思い、新たなものの見方やそこにある方法を発見していくことを通して、ひとりひとりの中に思い思いに引き出されていくまだ見ぬ潜在力こそが、本書で取り扱いたい編集力です。 生命活動のOS(オペレーションシステム)とも言える広義の「編集力」を、「方法」として工学的に読み解くことで、人間が携えるべき基本的な能力の仕組みを明らかにし、改めて装填し直していく。。。。

この冒頭で若干私の求めていた内容ではないことに気づきます。この本はブログを編集するというレベルの話しではなくもっと、大きな知見をあつかう本のようでした。ただ、書かれている内容が心にストンと落ちてくるような納得できる内容であったこと、文の構成の仕方も非常に巧みで、著者の方の知見の深さが冒頭から垣間見え、学べることが非常に多くありそうだと感じ、読み進めていきました。

【才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10の思考法】を読んでほしい人はこんな人

人間の思考の構造に興味がある人。

自分の思考方法をアップデートしたい人。

仕事をしている中で新しいアイデアや発想が出てこず、生きづまってしまっている人。

クリエイティブな仕事をしている人。

様々な教養に触れたい人。

自分の主張と引用した内容をどのように整合性を持たせて主張するかをつかめていない人。

【才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10の思考法】レビューまとめ

 好意的なレビューが並びます。社会人として、一段階アップデートするには必読の書となっているようですね。

著者の安藤昭子さんとはどんな方なのか?

松岡正剛が所長を務める編集工学研究所にて事業統括に従事。企業の人材開発や組織理念開発、自治体・省庁のマスタープラン策定、大学図書館改変など、多領域にわたる課題解決や価値創造を「編集工学」を用いて支援している。株式会社同朋舎出版、株式会社アルクで書籍編集や事業開発に従事した後、「イシス編集学校」にて松岡正剛に師事、2010年に編集工学研究所に入社、2012年に専務取締役に就任。次世代リーダー育成塾「ハイパーコーポレートユニバーシティ[AIDA]」プロデューサー、企業の人材開発研修の講師等。

 様々な企業や学校における研修などを主におこなっておられるようです。この本を読んると、考え方だけでなく、実践でどのように思考をしたら良いのかが、詳細に記載されており、企業における研修会から得られた知識の集積が垣間見えます。

著者の安藤昭子さんが所属する編集工学研究所とは

編集工学研究所(へんしゅうこうがくけんきゅうじょ)
企業の人材組織開発、理念ビジョン策定、書棚空間のプロデュースなど、個と組織の課題解決や新たな価値創出を「編集工学」を用いて支援している。本を活用する共創型組織開発メソッド「Quest Link」、理化学研究所「科学道100冊プロジェクト」、近畿大学「ビブリオシアター」、良品計画「MUJI BOOKS」などを展開。所長・松岡正剛が情報編集の技法として提唱した「編集工学」は、オンライン・スクール「イシス編集学校」で、そのメソッドを学ぶことができる。「生命に学ぶ・歴史を展く・文化と遊ぶ」が、1987年創設以来の仕事の作法である。

 本をテーマにして、様々な事業を展開しているところのようです。理化学研究所や近畿大学、良品計画など、かかわった事業はビックネームばかり!この本をよむまでは存じ上げていませんでしたが、

編集工学研究所様の他の著書の紹介

探究型読書

「探究」は今ホットなテーマとなっている。とくに教育では「探究」が問われ、現場の教師たちにとって非常に悩ましい問題になっている。
本書では、そんな「探究」を「読書」という古典的な型を使って行うという、非常に大胆かつユニークな方法だ。
しかも、従来の読書の概念を覆す、「本を読まない」という方法をとる。「本を読まない」といっても、「熟読しない」「通読しない」という意味で、「一部の本文は読む」というものだ。
はたして、これが読書といえるのか? 
本企画では、「読書」というものを現代的にアレンジし直し、そもそもの読書の目的を考え、私たちの暮らしや仕事に役立つ読書というものをゼロから考えてみたい。
アフターコロナを見据えて、読書の新しい形を経験し、時代を切り拓く方法を模索してみよう。

 編集工学研究所は本をテーマに様々な事業を展開していることから、この本も読書というものに焦点を当てた内容となっているようです。多くの本が出版される現在。その中には、玉石混合。良い本も悪い本もあります。それらの本をいかに見極めて素早く読んでいくことができるかを最近よく考えるのですが、その答えがこの本に載っているような気がします。読んでみたい本です。

 また、今回紹介できませんでしたが、「編集工学研究所」の所長、松岡正剛さんも多数の著作を手掛ける方です。今回の本の中にも松岡正剛さんの著書からの引用が多数あり、松岡正剛さんの著書も読んでみたくなりました。

今回もここまで読んでいただきありがとうございました。今後も本から学んだ知識のアウトプットを続けていきます。

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